現在、行われている遺伝性皮膚疾患における出生前診断では、絨毛や羊水細胞からDNAを採取し、遺伝子診断が行われるが、いろいろな問題点がある。本研究の目的は、重症の遺伝性皮膚疾患において、母体の血清DNA中の胎児DNAを標的として、より簡便で、よりリスクの少ない画期的な出生前診断法を確立することにある。本研究の独自性は、その遺伝子診断に新規のPCRの技術であるmultiplex droplet digital PCRを用いる点、母体から妊娠期間中に経時的に採血を行い、複数回にわたって遺伝子検査を行う点である。そのために、XY染色体による性別の鑑別診断、VII型コラーゲンのSNPを用いる判定実験、そして実際に劣性栄養障害型表皮水疱症患者での出生前診断を行う。